味を占め、すっかり釣りにハマってしまったYokoさん。
晴れ間を見ては、釣りに行こうと誘ってくるようになったのです。
そんなある日。
ふと買い出しに出る用事で出かけていると、いつも通っている道で工事している叔父さんに声をかけられました。
彼は私達を見るなり『Pescar(釣り)』と言う言葉を連呼し、携帯の写真を見せてくれたのです。
そこには大量の魚を釣っている叔父さんの姿。
そして、容赦なくスペイン語で話かけてくる叔父さん。
『日曜は仕事が休みだから一緒に釣りに行こう』
と誘っている様子。
こんなタイミングでなぜ?!と一瞬、怪しく思ってしまいましたが、どうやら釣竿を持って出かけている私達を見かけていて声をかけてくれたようでした。
その後、私達は半信半疑で後日会う約束をし、その日は別れました。
迎えた約束の日曜当日。
近くの指定されたホテルへ行くと、叔父さんは道の外まで出て待っていてくれていました。
彼の名は『エル チェ』。
本名ではないけど、みんなから『チェ』と呼ばれているそう。
あの有名なチェ ゲバラにちなんだニックネーム。
チェ ゲバラと同じアルゼンチン出身でイースター島には仕事で来ていて3年住んでいるそう。お年は60歳、親世代です。
さっそく家に案内していただき、
房ごと収穫したバナナ(ここラパヌイの人達はこのスタイルが定番のようで、これがまた最高に美味かった!)をご馳走になり、
チェの家には釣竿が何本もありました。
慣れた手付きで準備を済ませ、いざ出発!!
車で30分くらいのポイントに移動。
ドライブ中、時折海を見つめ釣りポイントを探るチェが印象的でした。
ポイントへ着くと、チェは初心者の私達に丁寧に釣竿の扱い方や針の付け方を教えてくれました。
魚の餌は、丸めたパンと鶏肉!
この時ぐらいから私は、チェの姿に釣り好きの父親を思い出していました。
何だか小学生くらいの夏休みでもタイムスリップしたような感覚になったのです。
天候は良くありませんが、久しぶりの本格的な釣りの感覚はやはり楽しく、時間があっと言う間に過ぎていきます。
時折、雨も降って来ましたがそんなの気にならないくらい、3人とも釣りをする事に夢中になっていました。
その成果はというと、まさに大漁!
今回もYokoさんはヒットにヒットを続け、一番大きな魚を釣ったのもYokoさんでした。
魚を釣り上げる度に優しく微笑むチェ。
慣れない釣りをする私達のために人一倍動いてくれました。
なぜかチェの話すスペイン語は不思議と理解でき、意思の疎通を取ることができました。
彼と釣りをする時間は本当に楽しい一時。
楽しい時間はあっと言う間です。
雨が強くなってきたので帰る事に。
帰路の途中チェから『私の家で料理して一緒に食べない?』とのお誘い。
私達はもちろん『ポルファボール(お願いします!)!』の答え。
チェの家に着くなり、慣れた手付きで次々と釣った魚のウロコを剥いでいきます。
私達は小さい魚に苦戦していたのに…。
「やってみるか?」と言われて、慣れない手さばきで見よう見まねでウロコ取りをさせてもらいました。
なんとこの魚たち、全て3人で釣り上げたものたち。
瞬く間に下処理が完了しました。
そして料理開始!
どうやらオーブンで野菜と一緒に焼くようです。
玉ねぎとトマトを敷き詰め、味付けは、塩と胡椒とオレガノ。
焼き上がるまでの約1時間、お酒を出してくれて3人でお喋り。
私達の旅の話や、チェの家族の話で盛り上がりました。
そして料理が完成し、実食!!
うわぁ!美味い!!!
釣り上げたばかりの魚は身がプリップリで臭みもなく、シンプルな味付けは最高に美味しかったです。
今日1日中、私達の為にたくさん動いてくれたチェは明日も仕事だというので私達は早めにおいとまする事に。
別れ際、チェは私達に下処理をしてくれた一番大きな魚と、私達が美味しいと絶賛したバナナ、しまいにはお酒までプレゼントしてくれました。
本当にありがとうチェ。
見ず知らずの外国人、しかも片言のスペイン語しか話せない私達にこんなに良くしてくれて。
この恩は絶対に忘れません!
いつか日本で困っている外国人を助けてあげれたらいいな。
最後に震災で私の地元、福島の海では釣りが出来なくなってしまいました。
釣り好きの父親は隣の茨城県の海へでて釣りを楽しんでるようです。
地元の海で一緒に釣りをする事はもう難しいかもですが、この旅を終えたらまたどこかの海で一緒に釣りへ行きたいと思いました。
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